真実は私と貴方の心の中に眠る


by romanced
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亡国のイージス

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 「亡国」という言葉が気になった。
最近、私の身の回りでは、日本人が日本国を必要としないグローバル化がはじまっているのではないかと思う。それこそ、個人の自由で、教育なり仕事なり、居住地区を決めるので、国を問わないのである。私の知り合いにも、エリートだと思われる人ほど、海外で教育を受け、海外で就職し、帰国しない。人材流出だし、特に文化面における次世代を教育できる人材が帰国しないので、教育の空洞化のような現象が起こるのは数年先ではないかと思うほどだ。
 また、テロが次々におこるこの時代の危機管理として、自衛隊や隊員がどの位実戦で力を発揮できるかは、量的な数値ではでてこないと多くの日本人が疑問に思っているだろうと思う。つまり軍事費やGNPでは表わせない質的な国力のひそかな低下である。
 だから、この映画の冒頭にあった「亡国」のナレーションには共感するものがあった。
 映画の内容は私には、幕の内弁当スタイルで、色々なマニアック向け(戦闘マニア、軍艦や戦闘機マニア、自衛隊マニア、右翼向けetc)の内容を詰め込みすぎたが、その割には予算とスケールが追いつかなかったため、消化不良的出来栄えではなかったかと思う。まだまだ、あらすじにも無理があり、また描けない内容をスキップしたため、観客によっては理解不能であり、日本映画がB級と言われるのはしょうがないのかもしれない。
それでも、私としては、冒頭の映画に示す「亡国」という問題意識、危機の提示には理解できる状況が今の日本にあると思った。
 観客には、意外と一人出来できている中高年の男性がおり、自衛隊関連のOGの人もきてるのかなと想像した。戦後60年という言葉もナレーションには出てきたが、天皇陛下が万歳クリフを訪問したりして日本の過去に区切りをつけ、未来を考える時代のなったと思う。様々な意味で未完成な作品なだけに、防衛庁、海自、空自が前面協力の事実が、現実のその不完全を観客に捜し、再考させられた内容だった。
 俳優では、勝地涼がさわやかで、かっこよかった。(韓国スターのイ・ビョンホンにも通じる魅力を感じた。)強く出来る男である役柄で戦闘シーンが特にスマートに演じられており動きが綺麗だった。彼が演ずるストーリーでもっと、色々な戦闘物を見たいと思ったので、続編では、彼をもっと前面に押し出してくれればいいと思った。
真田広之は、いつのまにか中年になっており、動きを中年らしく押さえていたが、さすが、アクションスターだけあって、安心してみていられた。しかし、吉田栄作などと比べると身長が低いのだが、演じる力によって、小さく感じさせないのは、やはり一線の俳優だと実感させられた。
中井貴一は、工作員の役にぴったりだと思ったし、悪役を演じきったが、よく引き受けたなって思った「さすが日本人だ、素直に…。」「日本人よ、これが戦争だということがまだわからないのか。」などの彼の台詞が心に残った。
 最近ブレイクしているモデル出身の谷原章介は、女々しく泣く所が、実にぴったりだった。幹部で人の上にたちながらも、実戦したことなく理想で動いたが、現実での状況判断が甘かった自分に気がつき、最後の死に様は見事だった。このギャップを演じれるのは、背が高くて制服が良く似合う彼だからこそではなかったかと、後から気がついて印象に残った俳優だ。
 しかし、目力でいえば、勝地と同様に素晴らしかったのは、安藤雅信である。最後の戦闘シーンでも、洗脳され革命を信じているのか、それとも薬を服用しているかのような不気味な工作員の目を上手く演じていた。痛みがあっても感じない、ひたすら命令遂行の自分は一つのコマでしかない兵士であることを上手く演じきった。見事だと思った。
 残念なのは、チェ・ミンソの役回りで、一言も台詞がないと思った。有ったのかも知れないが、覚えてない。また、出てきたかも唐突。勝地との海中の戦闘も今ひとつ焦点がない。勝地に焦点が当たっていたからだろうか?彼女の役が中井の役の意味を深めているのだろうが、それにしても、韓国人を使うために無理やりいれたような感じの役に見えて残念である。
 ここで、映画の登場人物からみる「亡国」にゆらめく日本の状況が描かれているのではないかと思われるするどい台詞の部分を取り上げてみたい。
 勝地の台詞には「貴方は実戦をわかっていない。」「実戦ではやられる前に撃つ。」という通り、彼がめちゃくちゃ強く、その任務をこなしていた。しかし真田の言葉で「撃つ前に考えろ。」「迷うのが人間だろう。」といわれて迷った一瞬の隙に、撃たれてしまう。これはある意味、日本の未来を暗示させているようにも取れる。彼が今、自衛隊で言われているような基本の専守防衛に戻ろうとしたあり方の結果である。
 倒れた彼をみて、真田は、「馬鹿、その前に考えろ。」と一括した。そうなのだ。実戦では、容赦ないことを、どれだけの日本人が身にしみているのだろうか。そして、その一瞬の迷いが命とりになる。普段から、自分の方針を決めておけと言うことになる。しかも、国防だけでなく、これだけグローバル化が進み、意識として小さな国家、大きな個人があるならば、個人としての在り方も日ごろから考えておかなければならない。
 このように勝地と真田の役柄のやり取りには、日本のこれからの防衛への在り方への迷いが描かれていると思った。 引用;「亡国のイージス」officail site b0105370_010642.jpgb0105370_0105231.jpg
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by romanced | 2005-07-31 23:43 | 映画